【窓ガラスの台風対策】効果のある養生テープの貼り方とは?
ガラスフィルム1級施工技能士が養生テープの効果をご紹介
国家資格1級ガラスフィルム施工技能士
Harumado 平井 喬
動画で効果を確認
台風対策で窓に養生テープ、シーズンにはあちこちで✕印や十字印に貼られてるのを見かけますが、本当に効果があるのか疑問に思うことありませんか?
念のためやっておいたほうがいいのかな・・・との思いに駆り立てられて、100均ショップやホームセンターに買いに行くも既に売り切れ!なんてこと、よくあります。
「念のため」という気持ちはよく分かりますが、大切なのは「効果があるのかどうか」です。この効果を確認した実験の動画がありますので、まずはこちらをご覧ください。
養生テープの飛散防止効果実験動画
いかがでしたか?
控えめに言っても、養生テープに台風対策の効果はないと明言できます。
そして効果が無いだけでなく、いくつものデメリットが見えてきます。
養生テープのデメリット
・貼り付けに手間がかかる
・必要な量が確保できない(売り切れる)
・きれいに剥がせず見た目が汚い悪い
・剥がす作業はかなりの重労働
・台風後は清掃業者も超多忙
・毎回の台風時に同じことを繰り返すのがかなり大変
弊社のお客様アンケートの集計と、インターネットの検索キーワードから抽出した結果です。
効果が無い上にこれだけデメリットが多いと、養生テープは台風対策としてはやはり無意味と言うしかなさそうです。
養生テープは貼り方で効果がある?
隙間だけの「✕印」「十字印」
さて、なぜ養生テープでは効果が無いのでしょうか?理由は誰の目から見ても明らかですね。そう、テープが貼られていない隙間が大きいからです。✕印や十字印に貼っても、テープが貼りついていないスペースのほうが大きいので、ガラスをカバーできていないことは一目瞭然。動画でもテープが貼りついていない箇所は粉々になっていました。
飛散防止フィルムは全面貼りだからこそJIS認証
ところで同じ実験動画では、飛散防止フィルムが貼られたガラスは破片が飛び散りませんでした。無色透明の飛散防止フィルムには強力な接着剤が使われていて、全面に貼りつくことでガラスをしっかりと保持します。この「全面に貼りつく」ということが性能を発揮する大切なポイントで、JIS認証の根拠でもあります。
そこでふと思いつくことがあります。
もしかしたらこのように養生テープをガラス全面に貼り付ければ効果がある・・・?
動画でも破片がある程度テープにくっついていますし、例えば上のイラストのように隙間ができないように少しずつ重ねて貼ることで、少しは効果があるのかな?と漠然と思います。
実験ができないのが残念なのですが、実験の代わりにフィルムと比較したコストの試算をしてみたいと思います。
養生テープとガラスフィルムのコスト比較
一般家庭を目安にすると
●貼り付ける窓
掃き出し窓6枚と腰高窓8枚
●窓サイズ
掃き出し窓/横85㎝×縦190㎝
腰高窓/横85㎝×縦95㎝
●施工面積
16.15㎡
●使用する養生テープ
100均ショップで購入した1個48㎜×8m(一般的なサイズ)
●貼り付けかた
・貼りやすさを考えて縦方向
・隙間なく貼るため左右3㎜ずつ重ねる
養生テープのコスト
■必要量・費用・作業時間の試算一覧
使用テープ量が45個361mというのはかなり多いですね。箱買いする量です。予備を含めて50個買うとしたら総延長400mとなり、陸上トラックと同じ長さになります。台風が来ると分かると養生テープは各地で売り切れるので、これだけの量を確保できるのか不明です。
そして5時間かけて貼り付けて、10時間かけて自力で剥がす。これを台風が来るたびに繰り返すのはかなりの重労働です。気持ち面でも辛いものがありそうです。そこで清掃業者にガラス掃除を依頼すると平均22,000円が必要で、1回の対策でトータル費用は27,500円となります。
近年台風は多発・強大化の傾向なので、仮に毎年1回はこの作業をするとしたら、10年間でのコストは275,000円。これらはあくまで試算ですが、自宅の窓全てに養生テープを貼るとしたらかなりの費用と非現実的な労力がかかることは分かりました。
次はガラスフィルムのコストです。
ガラスフィルムのコスト
JIS認証のある飛散防止フィルムを、プロが上記条件(16.15㎡)で施工するときの費用はトータル18万円ほど。1人作業で3~4時間で完了し、当然ですが剥がす必要はありません。強力に固着するので10年はもちます。お手入れは水拭きくらいなので簡単です。
また無色透明で見た目が変わりませんので、まるで貼っていないような美しさで明るさも変わりません。
UVを99%カットするため人体の日焼けや床、カーテン、家具類の色褪せ・劣化も防ぎます。JIS A 5759で規定される飛散防止性能が明確で、暑さ寒さ対策や目隠し性能が付加されたタイプ、さらに強力な対策が可能な防災フィルム(JIS R 3109)もあります。
そして施工には国家資格制度があり、1級、2級、資格なし、と分かれます。1級保有者は全国でも1千人に遠く及ばないレベルです。
まとめ
ここまで台風対策としての養生テープとガラスフィルムの比較をしてきましたが、結論は養生テープは効果が無い、または不明確なうえ費用や労力などのコストがかかりすぎてしまいます。
一方のガラスフィルムは10年間一切手を加える必要が無い上に性能は明確で、トータルの費用も養生テープよりも安いです。
見た目もガラスと変わらず付加価値もあり、国家資格で施工技術の裏付けもあります。
窓ガラスの台風対策は、どれを比較しても養生テープよりガラスフィルムが優れていると断言できます。
貼り方云々は関係なく、養生テープを窓に貼るくらいならガラスフィルムで台風対策をしましょう。
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