【窓の台風対策】養生テープの貼り方・効果・費用・リスク
ガラスフィルム1級施工技能士が養生テープの効果をご紹介
国家資格1級ガラスフィルム施工技能士
Harumado 平井 喬
2023年5月13日更新
台風対策で窓に✕印や十字印の養生テープ。シーズンにはあちこちでに貼られてるのを見かけます。「念のため貼っておこうか」との思いで100均ショップやホームセンターに買いに行っても既に売り切れ!なんてこと、よくあります。そもそも「本当に効果があるのかな?」と疑問に思いますよね。そこで今回は、養生テープを窓ガラスに貼るときの貼り方や効果、費用、リスクなどをまとめたいと思います。
Table of Contents
効果を動画で確認
「念のため」という気持ちはよく分かりますが、大切なのは「効果があるのかどうか」です。この効果を確認した実験の動画がありますので、まずはこちらをご覧ください。
効果なしと明言
いかがでしたか?控えめに言っても、養生テープに台風対策の効果はないと明言できます。そして効果が無いだけでなく、いくつものデメリットが見えてきます。
養生テープのデメリット
・貼り付けに手間がかかる
・必要な量が確保できない(売り切れる)
・きれいに剥がせず見た目が汚い悪い
・剥がす作業はかなりの重労働
・台風後は清掃業者も超多忙
・毎回の台風時に同じことを繰り返すのがかなり大変
弊社のお客様アンケートの集計と、インターネットの検索キーワードから抽出した結果です。
効果が無い上にこれだけデメリットが多いと、養生テープは台風対策としてはやはり無意味と言うしかなさそうです。
効果がある貼り方とは?
隙間だけの「✕印」「十字印」
さて、なぜ養生テープでは効果が無いのでしょうか?理由は誰の目から見ても明らかですね。そう、テープが貼られていない隙間が大きいからです。✕印や十字印に貼っても、テープが貼りついていないスペースのほうが大きいので、ガラスをカバーできていないことは一目瞭然。動画でもテープが貼りついていない箇所は粉々になっていました。
全面貼りならもしかして
ところで上の実験動画では、飛散防止フィルムが貼られたガラスは破片が飛び散りませんでした。無色透明の飛散防止フィルムには強力な接着剤が使われていて、全面に貼りつくことでガラスをしっかりと保持します。この「全面貼り」がJISに定められた飛散防止性能の根拠です。
そこでふと思いつくことがあります。もしかしたらこのように養生テープをガラス全面に貼り付ければ効果がある・・・?
動画でも破片がある程度テープにくっついていますし、例えば上のイラストのように隙間ができないように少しずつ重ねて貼ることで、少しは効果があるのかな?と漠然と思います。実験ができないのが残念なのですが、実験の代わりにフィルムと比較したコストの試算をしてみたいと思います。
養生テープのコスト
試算の基準
●貼り付ける窓
掃き出し窓6枚と腰高窓8枚
●窓サイズ
掃き出し窓/横85㎝×縦190㎝
腰高窓/横85㎝×縦95㎝
●施工面積
16.15㎡
●使用する養生テープ
100均ショップで購入した1個48㎜×8m(一般的なサイズ)
●貼り付けかた
・貼りやすさを考えて縦方向
・隙間なく貼るため左右3㎜ずつ重ねる
必要量・費用・作業時間
陸上トラック1週分
必要テープ量は45個361mとなり、予備を含めて50個買うとしたら総延長400m。陸上トラックと同じ長さになります。費用は5,500円ですが、台風が来る直前は養生テープは各地で売り切れるので、これだけの量を確保できるのか不明です。
貼り付け5時間・剥がし10時間
養生テープはガラスに乗せただけでは貼りつきません。強く手で押し付けることで固着するので、1列貼るだけで何往復分かの時間が必要です。疲労がたまることを考慮して、自宅全ての窓に丁寧に貼ると所要時間は5時間。そして台風後には剥がす作業が必要ですが、きれいに剥がれずあと残りすると作業はかなり大変。最低でも10時間かかると試算。これを台風が来るたびに繰り返すのはかなりの重労働になりそうです。
剥がし作業を業者に依頼すると
最低でも10時間の作業はとてもきつい!ということで、剥がし作業だけ清掃業者に依頼することもできます。しかし、清掃業者は台風後は「超多忙」です。私は以前お掃除業界にいたのでよくわかりますが、同じようなガラス掃除の依頼が殺到します。すぐにガラスの現状復旧ができないと考えるのがベターです。
1回の台風で約3万円
ちなみに清掃作業を依頼すると費用は平均25,000円ほどで、1回の対策でトータル費用は約3万円となります。近年台風は多発・強大化の傾向なので、仮に毎年1回はこの作業をするとしたら、10年間でのコストは30万円。これらはあくまで試算ですが、自宅の窓全てに養生テープを貼るとしたらかなりの費用と非現実的な労力がかかることが分かりました。
次はガラスフィルムのコストです。
ガラスフィルムのコスト
耐用年数10年
フィルムは養生テープのように、台風が来るたびに貼って剥がす必要がありません。10年間は使える耐久品です。お手入れは水拭きくらいなので簡単です。
プロ1人で3~4時間作業
プロが上記条件(16.15㎡)で施工すると、1人作業で3~4時間で完了します。ガラス採寸、ガラス掃除、貼り付け、事後清掃、ごみ処理、説明等を含めたトータルの内容でお客様の作業はゼロです。カーテンなどを取り外す必要もありません。*窓際に家具類がある場合はご移動をお願いすることがあります。
全ての窓で18万円
そして16.15㎡にフィルムを貼る費用は約18万円。10年耐久なので1年あたり1万8千円となり、養生テープのコストより低く抑えられます。また無色透明なので見た目や明るさは変わりません。
プラスαの性能も
さらにUVを99%カットするため人体の日焼けや床、カーテン、家具類の色褪せ・劣化も防ぎます。暑さ寒さ対策や目隠し性能が付加されたタイプ、さらに台風対策を強化した「防災フィルム(JIS R 3109)」もあります。
まとめ
以上、養生テープとガラスフィルムの比較をしてきましたが、いかがでしたか?結論は養生テープは効果が無い、または不明確なうえ費用や労力などのコストがかかりすぎてしまいます。
一方のガラスフィルムは10年間一切手を加える必要が無い上に性能は明確で、トータルの費用も養生テープよりも安いです。
見た目もガラスと変わらず付加価値もあり、国家資格で施工技術の裏付けもあります。
窓ガラスの台風対策は、どれを比較しても養生テープよりガラスフィルムが優れていると断言できます。貼り方云々は関係なく、養生テープを窓に貼るくらいならガラスフィルムで台風対策をしましょう。
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