ブログ一覧


台風から窓ガラスを守る対策方法の比較一覧【メリットとデメリット】

その場限りの対策より日常活用できる対策に明らかな効果あり。

国家資格1級ガラスフィルム施工技能士

Harumado 平井 喬

1】実務の立場から窓ガラスの台風対策をまとめてご紹介

窓に物が当たって割れると危険・・・。

強い風で窓ガラスがたわんで怖い・・・。

フィルム施工業を営む弊社では、台風シーズンになると多くのお問い合わせ・ご相談をうけます。

その中で多くのお客様が気にされているのは、当然のことながら「効果」です。

 

養生テープ、段ボール、ベニヤ板、フィルム、シャッター・・・。

「効果あるのかな?」と思いながらテープを貼ったりしたことなどありませんか?

巷にあふれる対策の中には、まったく効果がなかったり、緊急施工に向かないものやDIYで施すには無理があるものも・・・。

この記事ではその効果、メリットとデメリットを実務の立場から記したいと思います。

 

2】ガラスに当てない or ガラスを飛散・貫通させない

台風対策は大きく分けて強風・飛来物を「ガラスに当てない対策」と「ガラスを飛散・貫通させない対策」に分かれます。

飛来物がガラスに当たらなければ被害は出ませんので、まずはこの対策からご紹介します。

 

●ガラスに飛来物を当てない対策

この対策は窓の屋外側に施すものなので、ガラスへの直接の影響(被害)を防ぐことができます。ガラスの身代わりに被害を受け止める対策と言えます。

 

シャッター

シャッター画像

屋外で窓の全面を覆うことができるため当てない対策として大きな効果があります。留守・夜間に防犯目的で降ろしておけば日常でも使えることは大きなメリット。ただ、取り付けスペースの都合でシャッターサイズが合わなく設置ができなかったり、壁の種類で設置不可の場合があります。工事足場や工期が数日を要することもあり費用は高めです。

 

雨戸

シャッターと同じように窓全面を覆えます。木製、樹脂製があり、防犯目的の日常使いもできます。設置するには収納スペースの確保が必須で、十分に確保できない時は取り付けできません。

 

格子

基本的に窓全面を覆います。デザイン・機能性が多種多様で、風通しや景観確保を重視した隙間ありのタイプ、目隠し重視の隙間なしタイプ、両方の特徴を持った開閉式などがあります。視界の障害となりやすいので腰高窓や掃き出し窓に取り付けることはまずなく、主に小窓が対象です。ルーバーも似た性質の対策です。

 

板の打ち付け

その場限りの対策です。必要な板を調達できれば有効な手段と言えます。しかし要なタイミングは「台風上陸直前」が多く、ホームセンターやネットでは、売り切れ・入荷待ち・配送待ちとなることも。打ち付けるための道具と技術も必要で、DIYでは取り付けが難しいことが多いです。

 

防風ネット

ゴルフ練習場やビニールハウスに設置されている青や緑色のネットのことです。簡単に購入できますが問題は取り付け方。台風に煽られて飛ばされないようにするためには、固定するための留め具・知識・工具が必要です。また網目の間から小さな飛来物が入り込んでくることや、網が切れてしまうことがあり、これ自体が飛散物となる危険性がでてきます。

 

防風シート

防風ネットのような網目はなく、かなり頑丈なビニールシートのような作りです。台風対策に特化された製品は一般での購入は難しいため業者に依頼することになります。そのため緊急対策としては難しいです。ただ効果は高いです。

 

壁にリフォーム

実例もある大真面目な対策です。当然プロによる工事で工期も必要です。建築基準法と消防法に抵触しない割合で窓を壁にリフォームしなければいけませんので、まずはプロの建築士や住宅の購入先、大家さん、ビルオーナーに問い合わせてみましょう。

 

●ガラスを飛散・貫通させない対策

この対策は「当てない対策」が何らかの理由でできない場合に窓ガラスの室内側に施すものです。そのため風圧や飛来物による「飛散・貫通させない性能の高さ」が比較のポイントとなります。

 

合わせガラスに交換

2枚のガラスを無色透明の中間膜(飛散防止膜)で接着しているため、通常ガラスと比べてかなり強く、飛散と貫通を防いでくれます。ペアガラスにすることで暑さや寒さ対策もできるため、日常使いができることは大きなメリット。ただガラスの重みが倍以上になるためサッシ交換や工事足場の設置など、費用と工期が最初の見積もりから増すこともあります。台風前後はどのガラス業者も多忙となるため余裕をもって依頼するといいでしょう。中間膜の劣化の目安(耐用年数)は20年前後*です。

*「恒久的に劣化しない」とする業者もありますが、正確には「ガラスに限ればほぼ恒久的に劣化せず、中間膜は有機物のため紫外線等の作用で劣化する」が正しいです。

 

ガラスフィルム

今あるガラスの室内側に、JIS認証のある飛散防止フィルム(JIS A 5759)や防災フィルム(JIS R 3109)を貼り付けて、飛散と貫通を防ぎます。各種実験からも効果が認められており、最短半日以内の工期と低コストが特徴です。公共施設等で導入実績多数あります。遮熱断熱や眩しさ、目隠し性能が付加されたフィルムもあり、日常生活にも生かせます。貼り付け後は完全固着まで時間が必要で、台風シーズンだと固着期間として1週間程度はみておきましょう。言い換えると緊急施工できてもすぐに効果を発揮しにくいということです。また耐用年数は平均で10年です。ガラス業者同様台風前後は依頼が殺到します。

 

カーテン・ロールスクリーン

カーテン・ロールスクリーンは四方にしっかりと留められればある程度は効果があるかもしれません。しかし、合わせガラスやフィルムと比べて割れたガラス片は確実に室内に飛散しますので、危険性が下がることはありません。大風による吹き込みで室内が荒れて屋根が持っていかれることもあります。

 

レジャーシート・ブルーシート(ビニールシート)

上記のカーテンと同じ理由で、対策としては不確かです。

 

ブラインド

隙間が多く軽い素材で作られているブラインドは、飛散と貫通の対策には効果ありません。むしろそれ自体が飛散物になる可能性があることから、取り外しておいたほうがいいでしょう。

 

養生テープ・ガムテープ等

養生テープ

米の字や田の字など、よくガラスにテープ類を貼る対策を見かけますが、実は効果がありません。実験の動画がありますのでご覧ください。手で簡単にちぎれる強度のテープ類が飛散と貫通を防げるはずがありません。費用と手間の無駄遣いなので、対策として検討しないほうがいいです。

■養生テープの台風対対策実験動画

 

新聞紙・段ボール・緩衝材(プチプチ)

ガラス全面を覆うように貼り付けると外が見えなくなるため、心理的にはなんとなく安心感を得られます。しかし新聞紙と段ボールは水でふやけ、緩衝材はあくまで空気の層なので、当然ですが台風に耐えられる強さはありません。

 

ベニヤ板・コンパネ・プラダン

窓を覆うように四方を取り付けると効果がありそうです。しかし、緊急時の調達の困難さと取り付け専門性の高さからDIYでは難しいでしょう。いざという時の大工さんはとても忙しいので、プロも対応はできないと考えるのがベターです。

 

発泡スチロール

厚みが薄いものはちょっとした力で簡単に折れてしまうため、かなり厚いもが必要になりそうです。しかしどの程度の厚みがあるといいのかわかりません。また、厚みが分かったとしてすぐに簡単に手に入るのでしょうか。そして厚いほどに取り付けが難しくなることは容易にわかりますので、対策として不向きです。

 

3】まとめ

以上のことから、効果のあることがはっきりとわかる対策は「シャッター・雨戸・ガラス交換・フィルム」と言えます。

これらの対策のメリットは「明らかな効果」と「日常使いできる」、という点です。施工には打ち合わせやある程度の工期が必要なので、余裕をもって依頼するようにしましょう。

その他の対策は費用は抑えられるかもしれませんが、あくまでその場限りの簡易なもので、はたして効果があるのかないのかはっきとしません。また、必要な材料が調達できない可能性や施工するための道具、知識も必要で、台風対策とは言い切れないでしょう。

 

●当てない対策はシャッター・雨戸

「シャッター」や「雨戸」は屋外で窓を覆うように取り付けるので、ガラスへの直接的な影響を受けずにすみます。対策としては最初に検討しやすいでしょう。また、効果が明確で耐風圧、対水圧、耐衝撃性など、JISに定められる基準に沿ってメーカー各社が製品を開発しているところも信頼ができます。ところで設置環境や壁の種類によっては設置できないことがデメリットです。

 

●飛散貫通させないなら合わせガラス交換・フィルム

飛散・貫通防止ガラスフィルム施工風景

屋外対策が難しい場合は合わせガラスに交換か防災フィルムがおススメです。どちらの製品も性能はJISで規定されており、基材固着層がガラス全面に貼りつくことで強力に飛散と貫通を防ぎます。「いかに飛散させないか」という点で製品開発をしているため、多くのお客様が実験動画を見ると性能の高さに驚かれます。

■実験動画①350µ防災フィルム評価試験

■実験動画②100µ防災フィルム評価試験

 

●台風後に必須となるメンテナンス

シャッター、雨戸、合わせガラス交換、フィルム。

これらの対策は台風時にガラスの代わりに被害を受け止めてくれたり、割れても飛散・貫通を防ぐものです。

つまり設置導入時だけでなく、台風で被害を受けていれば修理をしたり新しいものと交換するなど、メンテナンスに費用が掛かります。台風の襲来頻度をどのくらいと見積もるのか、そして仮に台風時に必ず何かしらの被害が出るとして、修繕・交換費用がいくらくらいになりそうか、そこまで考えてどの対策が我が家・我が事業所に相応しいかご検討くださいませ。

ご不明なことがありましたら遠慮なくHarumadoまでお問い合わせくださいませ。

プライバシーポリシー  /  特定商取引に基づく表記      Copyright (C) 2020 Harumadoーはるまどー. All rights Reserved.