高領域UVカットフィルム
空間単位で化粧品レベルのUV対策
国家資格1級ガラスフィルム施工技能士
Harumado 平井 喬
2022年1月31日更新
Table of Contents
1.高領域UVカットフィルムの特徴
①280㎚~400㎚の紫外線を99%以上カット
化粧品レベルでディープUV-Aと高エネルギーUV-Bの影響をほぼゼロに!
②10年も効果が持続
耐用年数は平均で10年。この期間は貼り替える必要がまったくありません。
③空間単位のUV対策
ガラスに貼るから窓際で紫外線をカット!空間単位でUV対策できるので、人体だけでなくカーテン、ソファー、壁、床、家具、電化製品の日焼けや劣化・色褪せ防止に高い効果があります。
④微色透明で高性能
まるで貼っていないと思えるほど窓ガラスの見た目が変わりません。また暑さ対策ができる遮熱タイプもあります。
⑤飛散防止
JIS A 5759に準拠する飛散防止性能があるため、地震や台風などの災害対策に高い効果があります。
2.高領域とは何か?
増えた紫外線量と拡大した照射領域のこと
JIS日本工業規格の窓ガラスフィルム規格「JIS A 5759」では紫外線領域を「日射のうち UV-B 域 (300 nm~315 nm) 及び UV-A 域 (315 nm~380 nm) の放射」と規定し、これを通常領域と言います。
一般的なUVカットフィルムはこの300㎚~380㎚の通常領域の紫外線を99%以上カットする性能があり、JISの基準に準拠しています。
しかし環境省がまとめた「紫外線環境保険マニュアル2020」のグラフを見ると、21世紀は一貫して紫外線の照射量が増え領域も拡大傾向で、通常領域の外側(高領域)の影響が懸念されています。具体的には通常領域の前後の280㎚~300㎚と380㎚~400㎚の紫外線が増えており、これらの含めた領域を高領域紫外線をと呼びます。
3.どんな影響があるのか?
太陽光線の一つである紫外線(UV)は、波長の長さによってUV-A、UV-B、UV-Cの3つに分けられます。それぞれの波長によって人体等に与える影響が変わりますが、UV-Cはオゾン層に吸収されるため地表には届かず私達の生活に影響はありません。悪影響をもたらす紫外線は、UV-AとUV-Bの2つです。
UV-Aの影響
地表に届く紫外線の内9割がUV-Aです。波長が長いため、大気・雲・雨・雪・窓ガラスを透過し家の中や屋内車内にも到達します。そのため人がUV-Aを浴びると肌は時間をかけて黒くなり、シワやたるみの原因となります。
UV-Bの影響
UV-Bは地表への到達は1割ほどですが波長が短く高エネルギーで、UV-Aと比べて影響が強いのが特徴です。屋外での日焼けの主な原因となり、浴びすぎると肌が赤く炎症を起こします。炎症が起きると皮膚ではメラニンがつくられ、シミや色素沈着の原因になります。
目に見えない紫外線・目に見える影響
これらの紫外線を目で見ることはできませんが、人体には「日焼け・光老化」として、物には「色褪せ(退色)・劣化」として、目に見える形で現れます。このような紫外線の影響は以前から広く知られていましたが、紫外線量の増加に伴い気にならなかった高領域紫外線の影響も増しています。
【参考記事:99%のUVをカットし日焼け・光老化・退色・劣化を防ぐ】
反射・散乱で家の奥まで届く
そして紫外線は直射だけでなく、反射と散乱を繰り返して室内の奥まで届きます。
冬のスノーボードやスキーで夏以上に日焼けをしてしまうのは、紫外線が雪や大気により反射・散乱し浴びる量が多くなるためです。この反射・散乱は室内でも起きており、増え続ける紫外線量に比例して室内で影響を受けやすくなってきています。
4.高領域UVカットの効果
化粧品レベルでUVカット
上の図は通常領域と高領域のUVカットをイラスト化したものです。
地表に到達する紫外線のうち、JISで規定される領域(300㎚~380㎚)をカバーするのが一般的なUVカットフィルムです。
環境省で定める紫外線領域はJIS規定の領域を含む280㎚~400㎚と広く、この領域をカットできるのが高領域UVカットフィルムです。実は日焼け止めクリームなどの化粧品類は280㎚~400㎚の領域を対象に作られているため、高領域UVカットフィルムは化粧品と同じレベルの高い性能をもったフィルムと言えます。
見た目で通常と高領域を比較
下の画像は、サンゲツ株式会社が自社のUVカットフィルムと、高領域UVカットフィルムの効果を比較したものです。
1枚の試験台を、左から「UVカットフィルムあり」「なにもなし」「高領域UVカットフィルムあり」の3つのゾーンに分けます。試験台に紫外線があたると紫色に変色します。ここにネイル加工用の強い紫外線を出すブラックライトをあてて効果を比べました。
画像は左が紫外線照射前、中央が照射中、右が照射後の様子です。
3つのゾーンの内、フィルムを貼っていない中央ゾーンははっきりと紫色に変わりました。UVカットフィルムの左ゾーンは薄紫色の反応が出ていますが、高領域UVカットフィルムの右ゾーンはほぼ無反応です。
無反応ということは高領域の紫外線を99%以上カットした状態なので、比較すると一目瞭然の結果となりました。
カーペットでも比較
さらにカーペットに当てた実験結果が次の画像です。
4枚並んだ画像は、左から紫外線照射前、ガラスのみ、UVカットフィルムあり、高領域UVカットフィルムありの比較結果です。実際のガラスを用いて検証しています。
左の照射前の画像と比べると、「ガラスのみ」カーペットははっきりと退色(色褪せ)しました。「UVカットフィルムあり」はやや色あせしていますが、「高領域UVカットフィルムあり」はほぼ色褪せなしです。
この実験結果のように、室内でよく陽の当たるカーテンや床、壁、カーペット、たたみなどに色褪せを見ることがあると思います。色褪せ防止として通常のUVカットフィルムでも効果はありますが、30年間増加し続けている紫外線の対策としては「高領域UVカットフィルム」がより高い効果があると言えるでしょう。
5.10年継続の空間UVカット性能
家電より長持ち
窓ガラスで高領域のUVカットをすることのメリットは、なんといっても10年間も貼り替えなしでUVを99%以上カットできることです。洗濯機やエアコンが7年くらいの耐用年数なので、UVカットフィルムは耐久性に優れている製品といえます。
窓際でシャットアウト
そして窓ガラスに直貼りなので空間単位のUV対策ができます。部屋の奥まで直射・反射・散乱で入ってくることが無く、お部屋のどこにいても影響を受けることはありません。
微色透明
またごくわずかに黄色系を有していますが、ガラスに貼ると人の目には全く気にならないほどの微色です。まるで何も貼っていないかのようにガラスの見た目は変わりません。
6.サンプルや現地調査で事前に確認を
施工に際してはいきなり依頼するよりも、事前にサンプルを取り寄せたり現地調査でご相談いただくことをおススメします。あらかじめフィルムの見た目が分かるとご安心かと思いますし、私としてもお客様宅のガラスの様子がわかっているとより詳しくご案内ができます。サンプル送付や現地調査*は無料ですので、ご検討の段階で遠慮なくお申し付けくださいませ。
■参考資料↓
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